青いブレスレット
「雪川さん?」


はっとして振り向くと、水原くんが立っている。

水原くんは中谷を見た瞬間、顔つきが変わる。



あれ、こんなこと、前にもこんなことあった気がする…。



「…お前、紗奈の彼氏だっけ?」


中谷が水原くんに話しかける。

口元だけ笑っている。



「そうだけど?」


滅多に見ない水原くんの表情。

…こわい。



「そんなこわい顔すんなよ。紗奈、よかったらまたこれ持っててな」


中谷は、ネックレスをわたしに返した。


「じゃあな」



そう言うと中谷は行ってしまった。



「…雪川さん」


遠くなっていく中谷の背中を、意味もなくボーッと見ていたら、水原くんに呼ばれる。


振り向くと、今まで見たことないような顔をした水原くんが立っていた。



水原くんの表情、雰囲気がこわすぎて、わたしは無表情を通り越して少し笑っていた。


「そのネックレス、あいつからもらったやつなの?」


…とても嘘をつける雰囲気じゃない。


「はい」


わたしはそれだけ答えた。


でも、水原くんの表情は1ミリも変わらない。


そして、痛い質問をしてきた。



「なんでまだそんなもの持ち歩いてるの?」

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