青いブレスレット
「お前は可愛いよ」



中谷が目をそらさず、言った。



「お前はダメじゃない。あのとき、そう言ってやれなくてごめんな」



…中谷………。




わたしが何を言おうか迷っていると、中谷はわたしから手を離して距離をとった。



「お前はどんな女にも負けないよ。自信持て」



そう言うと、中谷は背を向けて歩いていく。



言わなきゃ、中谷に。

言わなきゃーーー。




「中谷!!!」




少し遠くなったところで、中谷が振り返る。




「ありがとう!!!」



大声で叫ぶ。



泣きそうな顔をしてたかもしれない。



中谷は、優しく笑った。


そして、また歩いて行ってしまった。



優しく笑った中谷は、わたしが大好きだった中谷そのものだった。
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