恋萌え~クールな彼に愛されて~

華子は梨花の学生時代からの友人で、親友だ。
二人が会う日の会話は大概互いの近況報告や
愚痴で終わってしまうのが常だった。
でも今日はちょっと違った。
親友同士で妙齢な女二人の気の置けないランチタイムに
昨日の塚本の部屋での出来事が話題にならないわけがない。
というよりも、今日のメインはその話だった。
食事の方が添え物だ。


昨夜、一人帰宅した梨花は落ち着かない気持ちのまま
居ても立ってもいられずに親友の華子に電話をした。
電話で長く話すことを好まない華子は
そういう話なら食事でもしながらゆっくり話そうと
翌日のランチに梨花を自宅に招いたのだった。


「で、何? その彼は前からアンタに憧れてたんだって?」
「……みたい」


ほーぉ。やるねえ!と冷やかす華子を一睨みして
梨花はパスタを頬張った。


「それから彼は、仕事もできて頭も良くて
周りからの信頼も信用も厚いと。…梨花も同感?」
「それは、もちろん」
「そんでもって背が高くてスポーツマンでイケメン?」
「まあ、そう…かな?」
「ちょっとぉ~~。それで何が不満なのよ?!
どんな文句があるっていうの?!」
「だから!彼に不満なんてないわ。文句もね。ただ…」
「なに?!」
「私が彼を好きなのかどうか分からなかったし
分からないままそういう事をするのは……」


梨花のためらいを煮え切らなさと判断した華子は
その言葉尻をかき消すように声を一段高くして捲くし立てた。


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