はじめてを、おしえて。
嫌な汗は止まりません。
彼女達は威圧するようにボクをにらみつけます。
しかしボクは、いつものように逃げる事を忘れていました。
首がひとりでに、横にふるふると動きます。
女子達の顔は、般若のように恐ろしく歪みました。
「……どうして、帰らないの?」
「…………」
彼女達に話す事はありません。
むしろ、藤原君がボクに関わったと思われたら、彼に迷惑がかかる……。
ならば黙って大人しく、帰るべきなのですが。
ボクの足は、少しも動きません。
藤原君に会いたい気持ちと、女子達ににらまれた恐怖の両方が、そうさせているようでした。