その瞳で舐めあげて
「ごめん、驚いた?」

「そりゃ驚きますよ」

ここには私と郁箕、2人だけ。



しいて言えば一眼レフが

私の首から下がっている。

「俺、ガッツリ人見知りだからね」

人見知りのヤツが会った途端に

「朝チュン」で脅すか?




「もしかしてまだ怒ってるの?

この前のこと」

それよりもコイツからただ

離れたいだけ。

「いえ、もう気にしてません」


ただの“仕事相手”であって欲しい。

「なら良かった、これからも

専属として宜しくね?」

郁箕は手を差し出す。




仲良くしてたまるかっての。

「わかりました、

そろそろ撮影しましょうか」

その手を無視して郁箕をキリリと

睨みつける。



「そう、そうやって晒してよ、

丹音のそういう顔を壊したくなる」

その言葉に構わず睨むのをやめない。

「いいよ、始めよう。

読者を翻弄させるには身近から

だからね」

郁箕ぐんっと背伸びをして




私を見る。

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