シンデレラタイム2 教会で逢いましょう
「笑っちゃうくらい、似合わないわよね」

私は普通の女だった。

中小企業のお茶汲みや、上司に言われるままにコピーをするような仕事しか与えられなかった、特別能力のある女じゃなかった。

ただ、仲の良かった女友達が、弁護士だったり、女医だったり。

ちょっと特殊な子たちだっただけ。

見初められたことを、みんなが喜んでくれた。
妬みややっかみは、まったくなかった。

きっと、彼女たちが結婚する相手も、社長だったり、同業者と結婚するのだろう。

みんな、結婚したあとも、みすぼらしさなんて感じずに、仲良く付き合っていけることを純粋に喜んでいるのだ。





「でも、私は」

年下の恋人も好きだった。

彼と出会ったのは、私が大学生の頃。
私は四つ年下の彼の家庭教師をしていた。
素直に勉強に打ちこむ彼を男として見るようになったのは、いつだっただろう。
無事に彼が大学を合格し、私が、

「おめでとう!」

と祝いの言葉を述べたとき。

あのときの嬉しそうな顔。
それからも続いた私たちの交流。
それが恋に変わったのは、彼が大学生活に慣れてきた頃。

私が就職をして、仕事に打ちこみ始めた頃。

「好き」

そう言われた。
声が甘かった。
私の心をとろかすように。
ふたりの間の、未だ冷たい四月の空気を暖めるように。
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