不思議の国の俺。
「…どうしたんだよ」

「えっ、あ、何でもないの。
ただ…」

「ただ?」

「ただ……寂し…い…から…」

「「……」」

親父と二人暮らし。

そんな中に飛び込んできた

一人の「人間」。

逃げなければ殺されるのに、

寂しい…

「む、無理なのは分かってるけど…」

「…」

「やっぱり、少し仲良くなれたし…」

「………いよ。」

「もう少し、一緒に居られたら…なんて」

「…来いよ。」

「……え?」

「来いよ。帰れるなら。
一緒に来ればいいだろ。」

「ケンジ!!」

トランプの顔がぱっと明るくなった。

笑うと、かなり可愛い。

「でも、親父さんには迷惑かけんなよ。」

「…ええ、きっと父様は、私が居ない方が
安全だわ。」

「そうか…じゃあ。」

「行きましょう。」

そう言うと、トランプは凛とした顔つきになり、

しゃきしゃきと歩き始めた。

「…トランプ、そこ、さっき来た道…」

「あっ。」
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