『無明の果て』
園はカウンターの席を離れ、さっき外したマイクを、もう一度スタンドに付け直した。



そして、ボリュームを少し下げて、ステージの正面を向いた。


涼はカウンターに座ったまま、背中でその美しい歌を聞いている。







♪♪♪~



蒼い夜空の中から
小さく光る星屑達が

泣いてもいいよと囁くの



孤独と言う名の暗闇で



夜明けを待たずに
歩き出すつもりなら

おもいっきり泣いたっていい


夜空に散りばめる涙を



本当の私に
もう一度出会うためなら

本当の楽園を探しに
見送る事だって出来るはず



真実は絶望

真実は未来



夢のない未来にならないように

今の私が出来ること




ここで歌う事だけが
私からあなたへのプレゼントなの



誰も立ち止まる時がある

別れる時が来る



愛されていたはずなのに…


愛していたはずなのに…



何にも見えない

楽園が 見えない




~♪♪♪




園の歌声は 涙でかすれて、たったひとりの観客の身体を震わせた。
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