密恋。~リスクのある恋~
*
店の入っているビルの屋上に出る。
そこには誰もいない。
目の前に広がったキレイな夜景を見ながら、私たちは話をする。
「…お互い、結婚が決まって良かったな」
「ね!こんな風になるなんて、入社した時は想像もしなかった」
「ほんと」
ふっと柔らかく笑う堀内くんの表情に、私の心臓はドキドキと鼓動が速まり、顔も火照る。
身体を冷やすために来たのに、もっと熱くなるなんて。
…あの頃を思い出すな…。
堀内くんのことがすごく好きだった頃のことを。
「…今だからカミングアウトするけどさ」
「え?」
「俺、好きだったんだよね。…おまえのこと」
「!!!」
「まぁ、俺なんか相手にしてもらえねぇだろうな、って諦めたけど。大阪勤務にもなったし」
「―――…い、今の話、ほんと…?」
「え?…あぁ」
「――っ!」
私は震える両手で口を押さえる。
酔いなんて、一気に冷めてしまった。