Black Beast.



大勇くんも、浴衣だ。



「 ごめんね、今行くから 」



大勇くんを見て、そう思いながら
必死に笑顔を作った。



「 玲央と、何かあった? 」



引きつりそうな笑顔を保ちつつ、
小さく首を振って、大勇くんと一緒に
部屋を出た。



「 明日は何するの? 」


「 ん~・・そうだなぁ。
  近くにある遊園地っぽいところに
  行きたいってすずが言ってたけど
  ・・・どうなんだろ? 」


「 本当に何も決めずに
  来ちゃったんだね・・・? 」


「 いや、だって行き先知ったの今日だから! 」



ケラケラと笑いながら長い廊下を
2人並んで歩いていると、
大広間の襖を開けて出てきた璃玖くんが
私たちを見つけて”早く”と手招きしていた。



「 あ、俺拭くもの貰ってくる!
  柚菜ちゃんも着いて来てよ 」


「 へ?うん・・? 」



璃玖くんと入れ替わって大広間に
大勇くんが入ると、璃玖くんは
私の手を引いて時間帯的に人気のない
休憩所まで連れて来た。



休憩所と言っても、自販機の前に
いくつかイスがあるだけだけど。



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