Black Beast.



「 部屋出る前にその赤い顔
  どうにかしとけよ? 」



バタンッ、と布団に倒れこんだ私を
楽しそうな顔で見ながら、
彼はゆっくり立ち上がって
襖の向こうへ行ってしまった。



夏用の薄めの布団を頭の上まで被って、
恥ずかしさを噛み締めるように
溜息を吐き出す。



表情1つ変えず仕掛けてくる。
私ばかりドキドキしているみたいで、
なんだか悔しい。



「 はぁ・・・・ 」



本当に、ズルい人。



朝からうるさい心臓を
落ち着かせるように
息を吐き出しながら、
ゆっくり起きて布団を片付けた。



今日は個室についてる露天風呂に
入りたいな~なんて呑気なことを
考えながら支度を済ませた。



「 水、飲むか? 」



どこに行っていたのやら、
昨日とは違う服装で部屋に
戻ってきた彼は飲みかけの
水を私に差し出してきた。



冷房のおかげで正直喉が痛かったし、
丁度欲しいなって思ってたし・・・



間接キスを気にするなんて
本当に、子どもか。と
内心ツッコミながらペットボトルを
受け取った。



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