Black Beast.
シャンプーの入ったピンク色の
容器を見た途端、頭の中を過ぎる
昨日の出来事に顔が熱くなった。
不良で甘党って絶対おかしい・・・!
玲央くんのだって分かってて
チョコをくれた璃玖くんもおかしい!
昨日のキスはきっと世間で言う
”とばっちり”だと思う。
「 はぁ・・・ 」
まさかあんな形でファーストキスを
奪われるなんて・・・。
溜息ばかりが口から零れて
時間も忘れてつい長風呂してしまった。
どうせなら休んだって・・・。
そんなことを思いながらバスタオルを
取ろうとドアを開けた。
「 授業は出なくてもいいんだけど、
一応学校は行くよ?柚菜ちゃん 」
「 ひゃあああ!!!! 」
「 そんなに騒がなくても
女の子の身体なんて見慣れてるから・・・
って言うか見てないから! 」
目の前にいた大勇くんは
笑いながら髪を編み込んでいて、
その間に体にバスタオルを巻いて
器用に着替えた。
「 思った以上にゆっくり入ってるから
暇になっちゃってさ~ 」
ヘアピンを数本口に咥えている彼は
慣れた手つきで髪をセットして
それをぼんやり見ていた私の方へ
振り返るとにこっと笑って
私の腕を掴んだ。