オレ様専務を24時間 護衛する



「何してんの?」

「練習」

「何の?」

「モテ女の」

「モテ女?」

「ん」



そう口にした朱夏は、視線を美女にロックしたまま

普段はしないような仕草を始めた。

恐らく、彼女の真似をしているのであろう。



「何の為に?」

「だから、モテる為に」

「はぁ…」


だよね?

モテ女の仕草を真似してるんだから、そりゃそうだ。



朱夏は、指先を顎のあたりに軽く当て

相槌を打つように『うんうん』と頷き、

横髪を耳に掛けながら、その指先はそのまま長い髪を軽く撫で

柔らかい笑みを浮かべたかと思えば、

急に目を見開いて驚いた様子になったり。



目の前で繰り広げられる状況が実に面白い。



「飽きないの?」

「うん」


朱夏は至って真剣なようだ。



すると、


「あっ、帰るみたい」

「へ?」

「男性が席を立った」

「?!」

「女性も」


一挙手一投足を眺めている朱夏のナレーションに

私も思わず振り返ってしまった。



< 295 / 673 >

この作品をシェア

pagetop