オレ様専務を24時間 護衛する


――――――――――


俺を待たずに先に寝てくれ

帰りは何時になるか分からないから


――――――――――


彼の文字はいつ見ても綺麗で。

その綺麗な文字の存在感も半端ない。



『帰りは何時になるか分からない』

それは、恋人関係にある2人に当て嵌めると

『朝帰り』と意味すると、

恋愛経験値のゼロの私でさえ、すぐに理解出来た。


――――――――――


承知しました

お気をつけて


――――――――――


私は無言で会釈した。


煩いほどの胸の鼓動はいつの間にか治まっていた。

けれど、それに代わるように胸が締め付けられた。


何故なんだろう?

やっぱり、母性本能かしら??



彼は通話したまま私の前から立ち去った。

カツカツと靴音を響かせて……――……。


彼が完全に出て行ったというのに、

暫く耳から離れなかった。

―――――――彼の靴音が。


まるで、胸の奥に響くみたいに………。


< 428 / 673 >

この作品をシェア

pagetop