オレ様専務を24時間 護衛する


車を降りた俺は、

彼女に対しての最後の自分を曝け出す。


これが、本当に最後だと自分に言い聞かせるように。


彼女から自宅の鍵と車の鍵を受取った。

これで、彼女と俺を繋ぐ物は何一つ無くなった。



唖然とする彼女に用意しておいたプレゼントを手渡した。

女性に贈り物をする事自体初めてだから、

本当に何にしたらいいのか迷ったが、

けれど、俺が彼女の為に選んだ物。

例え、彼女が要らないと捨ててしまったとしても構わない。


俺が彼女の為に行動に移した事、その事実さえあれば

きっと、一緒に生活した事も、共に仕事をした事も、

君を想って品物を吟味した事も全ていい想い出になる。



俺は最後にきちんと言葉にして気持ちを伝えた。

作られた『御影京夜』でなく、

本当の姿の『御影京夜』として……。


思わず、涙腺が緩み出し

今にも涙が零れそうになった。


けれど、ここで涙を零しては全てが台無しになりかねない。

俺は必死に感情を押し殺した。



そして―――――――、


俺は彼女の目の前で、

本当の姿の『御影京夜』を封印した。


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