オレ様専務を24時間 護衛する


「はい、希和」

「ありがとう」


リビングのソファに膝を抱えるようにしている私に

ホットココアを手渡す母親。


隣りに腰を下ろし、テレビの電源を入れた。

そんな母親の横顔をじっと見つめ、


「お母さんは知ってたんだね」

「…………京夜さんの事?」

「………うん」


あんな衝撃的な報道に顔色一つ変えなかった母親。

それは、知っていたとしか思えなかった。


「えぇ。昨日、連絡を頂いたから……」

「………何て?」

「それを聞いてどうするの?」

「どうするって?」


母親の質問の意図が解らない。

聞いてはイケナイ質問なのだろうか?


ただ単に、何て連絡を寄こしたのか気になっただけ。

ただ……それだけなのに…………。



「希和は何を考えてるの?」

「何って、何の事?」

「もしかして、京夜さんが結婚に踏み切った理由を知りたいの?それとも、彼のお相手が誰なのか、知りたいの?」

「…………分からない。多分………全部」

「それを知って、何か変わるの?」

「えっ?」

「周りに流されるんじゃなくて、きちんと自分と向き合わないと……」

「…………」



母親の言葉がダイレクトに心に響いた。


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