HELLO,goodbye.


"楓の意識が戻った"



その声はいつかの看護師だった。


そしてそれは、

かろうじて引き止められていた楓の命が 完全に引き戻された、と。


あまりにも突然で 理解するのに時間がかかった。



私は寝ていたままの格好で家を飛び出す。

涙さえ出ないほどの歓喜に満ちていた。


少なくとも、辿り着いた病室で



"記憶が失われています"



そう聞くまでは。



< 13 / 33 >

この作品をシェア

pagetop