HELLO,goodbye.


"純"


楓の携帯の画面にそう表示されるものを全て。


電話帳も。

着信履歴もメールも。


「っこんなの…いつ撮ったのよ」

初めて見た、私の寝顔の写真も。



"削除"

すべて、初めからなかったように。


忘れたままでいい。
思い出すことなんてしなくていいから。


誰かがあの事件について
楓に何か聞こうというなら

代わりに私が全てを答えるから。

"なにもなかった"と。

楓は狂ったストーカーに巻き込まれただけだ。


それで全部が終わる。問題なんてひとつもない。


(当然でしょう?)


あの日あったことを知るのは

もうこの世で、私しかいないんだから。



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