HELLO,goodbye.



「「……………」」


自分が呼び掛けておいて黙り込んでしまった私。

看護師はそんな私を 黙ったまま待ってくれていた。


(今更なにを躊躇しているんだろう。しっかりしろ、純。)

どうせもう、後戻りなんてできないんだから。


(――…フゥ)

私は小さく深呼吸をする。

深く息を吸って拳に力を込めて。



「楓の携帯に"関谷(セキヤ)"という人の番号が入ってます」

私は静かに、確実に言葉を繋ぐ。

ポケットから楓の携帯を出す。 もう私の記憶は存在しない携帯だ。


「その人にこの病院を教えてください」

頼み事をしているわりに態度の悪い
我ながらイヤな女だと思う。


だけど、どうでもいい。
頼みを聞いてくれさえすれば私は消えるから


< 23 / 33 >

この作品をシェア

pagetop