ピエロ-私と中年男の記録-
二人の女性
小指のおっちゃんはその家の前に立っている。

ホースを持った女性が何か言った。

小指のおっちゃんは言い返す。

そして二人で家の中に入っていった。

「誰…」

妹と、小指のおっちゃんが買ってくれた飴を舐めながら待った。

私はガリガリ飴を噛み砕いた。三個目。

家のドアが開いた。


小指のおっちゃんが 後ろを振り返りながら出てきた。

まだ何か言っている。

「帰るん、早いなぁ。仲良くないんかなぁ。」

妹が飴を舐めながら言った。

何のために来たんだろう。

家のカーテンが揺れた。


さっきと違う女性が立っているのがわかる。隙間から顔と体が半分見えている。

二十歳くらいの女性。


冷たい目でこちらを見ている。


悲しい、
怖い、

何か言いたそうな。



気付いたのは私だけ。

小指のおっちゃんが車に乗り込んだら、女性は消えていた。


「すまん。もう終わったけん。たまに会いに行く知り合いのおばさんの家なんよ。」

いつもの笑顔。


私はわかった。


多分違うね。

きっと、奥さんと

子供。
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