ピエロ-私と中年男の記録-
父怒る
夕方になると父が帰ってきた。

あまり大きい声を出さない父にしては大きい声で

「どうしたんな!!」

カーゼ等で覆われた私の足を見て言った。


目が怖い。


「火傷したんよ。」

「…?!」

父が何か言いかけると母が呼んだ。

「父さん、ちょっと。」

父が部屋を出た。


あーぁ。足痛いなぁ。火傷かぁ。そんなん、したことなかったなぁ…。


ぼーっと考えていると


「マフラー?!何百度?!」


と、久しぶりの父の叫び声。


「…たいしたこと、無いんだろ?!」

微かに聞こえた。

「姉ちゃんは、痛く無いって言うけど…。」


それから父の声は聞こえなかった。



きっと、機嫌が悪い。
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