はんぶんこ

あの二人のリサイタルを聞きに行かされた、つまらなかった
確かに音は綺麗かもしれないがあれを奏でているのがヤクザに協力求めた奴だとか考えると軽く吐き気もしてくる、まあ俺が言えた立場じゃないけど…

事務所に戻ると組長に呼び出された
「あの二人はどうでしたか?」
この人は紳士的でなおかつ冷酷だ、相手が部下でも敬語で話してる
「演奏はよくわかりませんけど…客は結構入っていました」
「そうですか…それは良かった、私はあの方々に随分投資しましたからねえ…」
「じゃあ俺はもう下がります」
「ええ、」

扉を閉める、言い知れぬ開放感… あの人の圧迫感や存在感は周りの奴らとは桁違いなんだって思い知らされた

ああ、喉が渇いた…コンビニにでも行くか…


俺は携帯と財布だけ持って外へ出た
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