内緒のコト
聞かせる訳でもなく呟いていたそれが、聞こえていたのかは分からない。
でも切なそうなその顔を見る限り、やっぱり聞いていたのだろう。
膝の上に置いていた私の手に、小沢のが重なる。
驚いて小沢に目を向けると、
「俺じゃ、だめですか…」
真っ直ぐ前を向いたまま、小沢が言う。
「え…?」
「ね、俺にしてよ…?
俺は、果歩だけを見てるのに…」
今度は、私の目を真っ直ぐ見る。
初めて呼ばれる下の名前が、なんだかくすぐったい…
少しずつその顔が近づいてきて、唇同士が重なる。
此の後何が起こるかなんて、想像は容易い。
それでも私は、身を任せた。
