双子の姉妹の マキとマイ
宙が話終えた瞬間、円香ちゃんは私の手を思いっきり振り払った。


「円香ちゃん…」


私が呼びかけると、円香ちゃんはギロッと私を真正面から睨んだ。


あーー、やっぱり普通はそうだよね。


響夏と宙が当たり前になってたから、ちょっと私の考えは甘かった。


私が俯くとその瞬間、円香ちゃんは走り出した。


「え!?円香ちゃん!?待って!!」


私が手を伸ばしたのと、円香ちゃんが扉の向こうに足を踏み入れたのが同時だった。


そして円香ちゃんはルルアの腕に優しく触れながらルルアを見つめると言った。


「あなたも魔界人?なんだよね?」


「え、あ、うん」


ルルアはびっくりしたように目を開き頷く。


私もルルアも唖然としたまま円香ちゃんを見ていると、円香ちゃんはルルアに笑いかけながら言った。


「触れるじゃん」


「へ?」


私が気の抜けた返事をすると円香ちゃんは笑ったまま私を振り返る。


「だーかーらー!触れるじゃん?」


「え?そりゃあ、お化けってわけじゃないし…」


円香ちゃんは私の話を聞きながらルルアちゃんの頬に触れる。


「姿形も私たち人間と同じで触れる。それなのに私が怖がるわけないじゃん。だから、早くマキのところに行くよ!」


円香ちゃんはルルアから手を離し、私に手を伸ばす。


ルルアは唖然としたまま円香ちゃんを見つめている。


私はくるっと振り返り宙と響夏を見ると、2人とも微笑んでいる。


ああ、マキ姉!!


私たちが人間界に来て出会った人たちは、最高に良い人たちだよ!!


私は弾かれたように前に踏み出し、ルルアとイルと円香ちゃんがいる扉の向こうに足を踏み入れた。
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