週に一度だけ
そんなある日、
いつものように彼の指を盗み見る為に、図書館の奥へと向かった。
背の高い本棚の奥、窓辺に置かれたイスに、
彼の姿はなかった。
「いない、の?」
思わず漏れた独り言。
「残念」
もう一言呟き、立ち去ろうとした私の頭上から、
「いますよ」
おかしそうに笑いを含んだ声が降って来て、振り返った。
そこには、見慣れた本と節くれだった指。
そして―――
魅惑的なまでに野性味あふれる雰囲気の彼がいた。