虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~


「なんだ――――楽しめよ?」


「無理」



だから・・・楽しめないって!


目線を移すと、楽しそうに酌を交わす局長二人。


これが・・・最後になるんだ・・・



「一条、俺屯所帰る」


「なんで?」



せめて・・・最後にお梅さんに言いたいことがあるから。



「俺のことは、厠に行ったって言っといて」



それだけ言い、わたしは雨が降る屯所への道を全力で駆けた。

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