虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~
――――静かなわけが分かった。
中で稽古をしていたであろう隊士は、沖田さんを前に倒れていた。
幹部の人達は、それを平然とした目で見ている。
「沖田さん、古高が吐きました。土方が呼んでます」
わたしが声をかけると、少し驚いたように目を見開く沖田さん。
それもつかの間、にっこりと怖いくらいの笑みを浮かべる。
「さっ、さあ行こう、総司!」
その笑みを見た藤堂さんが、慌てたように沖田さんを引っ張っていった。
黒かったあの笑み。
あれを古高に見せたら、もっと早く吐いたのでは――――?
と思ったのは、心の中だけで、口には出さなかった。