わらって、すきっていって。

「美夜が歩けなくなったのは俺のせいだし、あいつが夢をあきらめたのも、俺のせい」


急に目頭が熱くなった。のどの奥からなにかがこみ上げて、言葉も浮かばなければ、声すら出せない。

泣きそうだ。でも、いまわたしが泣いたら、きっと本城くんは困ってしまう。


「だから、こないだのキスは忘れてほしい。あんなことしてごめん。どうかしてた」


そんなこと、言わないで。淡々と、無機質な声で、そんな台詞言わないで。

そんな顔をしないで。そんな目で、わたしを見ないで。


本城くん。わたしはね、わたしは、それでも。


「……無理だよ、そんなの」

「安西さ――」


「だってわたしは……本城くんのこと、好きなのっ……!」


告白するなんて、わたしには絶対に無理なことだと思っていた。でも、もしいつか、この想いを伝える日がくるなら、絶対に泣かないでおこうって。

笑って、好きって言おうって。

そう決めていたのに。ダメだなあ、全然。


「……ごめん」


ああ、やっぱり振られた。悲しいはずなのに、頭の片隅ではそんなふうに冷静に判断していて、我ながら感心してしまう。

でも、おかしいな。わたしが振られたほうなのに、おかしいよ。


「ごめん、安西さん」


顔を上げたその先には、いまにも泣きそうな本城くんの顔があって。

どうして本城くんがそんな顔をするんだろう。


「……ごめん。ごめんな」


違うんだ。わたし、そんな顔をしてほしくて、本城くんを好きになったわけじゃなかった。

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