わらって、すきっていって。
目の前の景色のピントが全然合わない。いま会話しているひとが本当に本城くんなのかすら分からない。
いまが夏でよかった。こんなに顔が熱いのも、全部夏のせいにできるから。
「……え! あ!? え!?」
「えっ!?」
「うわ、なに言ってんだ俺……」
遠足のときと同じだ。目の前にいる本城くんは右手で口元を覆って、横を向いたまま、うなだれているように見えた。
「……ごめん、なんつーかその……べつに変な意味じゃなくて」
「あ、うん……。わたしも、さっきの、その……変な意味は……」
「うん。分かってる。ごめん。……あーもう、俺らなにしてんだろうな」
本当だよ。バカみたいだね。
でも、本城くんが困ったように笑うから、わたしもつられて一緒に笑っていた。
「……Tシャツ、どうする? 安西さんは白が似合う気がする」
「ほんと? 本城くんはどうだろう、水色かなあ」
「やっぱり黒は似合わねーよな……」
「ええっ、違うよ!? そうじゃなくて……本城くんってすごくさわやかなイメージだから、水色がいいなって」
名前も夏生だし。勝手な印象だけど、夏ってすごく水色のイメージが強いんだ。
「だから決して黒が似合わないとかそういうことでは……」
「あはは、ごめん、冗談。安西さんがそう言ってくれるなら、俺は水色にしようかな」
水色と白のTシャツ。それからタオル。購入したあとでおそろいだということにやっと気づいて、またもや失神しそう。