ハンドパワー

私は必死になりながら、春に訴えた。

しかし春は行動しようとはしなかった。


どうして…

どうして何も言わないの…


「温秘、ちょっと来い」

「え?」

今まで見守っていた北郷勇人が急に動き出した。

手を引っ張られ、強引に外に連れ出された。


外に出る前に、渡辺貴雄の顔を見てみると、気持ち悪いくらい血が出ていた。

気づかなかった。

でも…私の両親の命を奪ったんだ。

あれくらいどうってことないんだ。


そして私が連れてこられたところは、葉館幼稚園。
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