唯一無二のひと


ーーお腹が空いちゃったのかな……?



秋菜は、ドラマを見るのを諦め、柊におやつを食べさせてやることにした。



「はい、お座りしてね」

食卓に取り付けたベビーチェアに柊を座らせ、冷蔵庫からストロベリーヨーグルトを取り出す。


「じゃ、スプーンの練習しようねえ」


柊の首に、スタイをつけてプラスチックのスプーンを持たせてやる。


柊は大好きな苺味のヨーグルトを目の前に大喜びし、嬉しそうにスプーンで掬い、食べ始めた。


すぐに口の周りがヨーグルトでベトベトになる。



「美味しい?良かったねぇ」


秋菜は柊の口元をタオルで拭いてやる。



可愛い息子の無邪気な顔を見ているうちに、ふと、朝の出来事を思い出して憂鬱な気持ちになった。




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