唯一無二のひと


「……なに、いつパシフィックホテルのランチバイキング行ったの?」


少し不機嫌な声を出す。



「あ、うん…三日前だっけかな?」


ちょっと戯けて秋菜は首を傾げてみせた。

豪太には内緒にしていたことだったのに。
ハヤト君ママが昼間、豪太の前で余計な事を言ってくれた。



『パシフィックホテルのランチバイキングにもちらし寿司があったけど、こっちのほうが断然美味しいよね!』



豪太は冷ややかな目で秋菜を見る。


「あそこ、ランチでも結構高いだろ?
赤ん坊連れて、よくそんなところ行くよなあ!」


「しょうがないじゃない。
これもママ友同士の付き合いなのよ…」


贅沢なのはわかっているから、つい、声が小さくなる。


「っつーか、俺の事は発泡酒飲んだだけで責めるくせに、自分は高級ランチかよ!やってらんねーよな!」


豪太はそういうと、ぷいと秋菜から顔を背け、部屋の奥へ入って行った。




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