唯一無二のひと




母・由紀恵と秋菜の二人暮しの生活は、秋菜にとっても不思議だった。

由紀恵はずっと仕事をしていたけれど、パート仕事ばかりでとても一家を支える収入があったとは思えない。


しかも、由紀恵はたびたび仕事を変えていた。


それなのに、普通に生活していた。


住んでいる家は狭く、贅沢は許されなかったけれど、うちが貧しいと思ったことはない。


週末はファミレスで外食し、年に1度くらいは箱根や伊豆へ母娘水いらずの一泊旅行を楽しんだ。


高校生の秋菜は、洋服屋でのアルバイト代を自分の携帯の支払いや、洋服や雑貨を買ったり、自分の好きなようにしていて、家に入れることなんかなかった。


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