リアル
何を考えるでもなく、サトシのことを眺めていた。
 どれだけの時間そうしていたのかはわからないが、暫くして自動ドアの向こうから聞こえてくる足音に気づいた。
 重い足を引きずるように自動ドアを抜けたのは、サトシの父親だった。
 おじちゃんは俺の方を一目見てから、サトシのいる部屋の方へ歩いていった。俺はガラスの向こうで繰り広げられている痛々しい親子の対面を見つめた。
おじちゃんの口は微かに動いている。何て言っているのかは聞こえるはずもない。でも、もそもそと動くその口からは希望の言葉が漏れているような気はしなかった。
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