リアル
 おじちゃんの目から涙がこぼれ落ちた。
 本当に泣きたいのは、本当に嘘だと叫びたいのは、本当に認めたくないのは、今俺の前で涙を必死に堪え、喚く俺に現実を静かに話すこの人なのに・・・。
 俺は今、間違いなくおじちゃんに追い打ちのように悲しみを与えている・・・。
「もう起きんの? サトシ」
 一番悲しい人の存在にやっと気付いた俺は、観念したように静かに聞いた。
「起きん」
 おじちゃんは絞り出すような声でこたえた。
「でな・・・明後日・・・」
「何?」
「明後日・・・」
「うん」
「サトシについちょる機械をな」
「機械?」
「うん、あの口についちょるやつな・・・」
「うん」
「外すことになったから・・・」
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