水面に映る影は永遠へ続く


部屋の前に着くと中から二人の会話が聞こえて来た。



それでも、襖をゆっくりと開ける。



「俺、大切な奴の記憶を失ってるらしいんだ」



「はい」



「それって、もしかして、お美代のことなのか?」



真剣な顔でお美代さんを見つめる彼。



お美代さんじゃない…、私なんだよ…。



そう言いたいのに、言葉が喉の奥でつっかえていて出ない。




< 107 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop