《俺様的》彼女の手なずけ方
とりあえず…お礼を言わなくちゃ。


今朝、部屋で別れたっきりだから…なんだか目を合わせづらい。


「ナル、ありがとう」


「なんのことだよ…別に、礼を言われるようなこと、してないけどな」


シレッとしているナルは、なんだかいつものナルじゃないみたい。


「あのままだったら、先生を呼ばれて大変なことになっていたかも」


「偶然、通りかかって目に余ったから…ただ、それだけだ。

それに、あれがお前じゃなくても…そうしてた」


ズキッ。


いつもなら、「お前のためだ。俺に感謝しろよ」


ぐらい言ってきそうなのに、


アッサリ否定されたような、そんな気持ちになる。


「よかったら、一緒に飯でも食って行けよ。バイキングのおひとり様は、痛いからな」


「あ…ありがとう…」


なんだか余所余所しい会話に、慣れない。


ナルは本当に、あたしとの約束を守ってくれてるんだ…。


もう、あたしのことを追い回さない、


って、言ってた。


それは、こういうことなんだね…。


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