お嬢様になりました。
私を睨みつけるばっかりで何も言おうとしない海堂に痺れを切らし、私はソファーから立ち上がった。


こんな態度をずっと取られてたんじゃ埒が明かない。



「もういい。 これ以上親子喧嘩に巻き込まないでくれたらそれでいいから。 じゃあね」



私が居たところで海堂には邪魔でしかない。


海堂に背を向け、ドアに向かって足を一歩踏み出した。



「お前が相手だったら、オヤジも文句言えねぇと思ったんだ」



私は足を止め海堂の方へ体を向けた。


真剣な海堂の目と視線が重なり、私は逸らさずそのまま海堂の目を見つめ続けた。



「意味わかんないんだけど」

「……この前、オヤジが俺の婚約者とかいう女を連れて来た」



婚約者!?


お金持ちにはよくある話、だよね?


ドラマとか漫画とかではさ。



「俺はあんな女と結婚するつもりはない。 あんなつまんねぇ女……」

「つまんない女? 元々知ってる人なの?」

「いや、この前初めて会った」



いやいやいや。


可笑しいでしょ。



「この前会ったばっかなのに、つまんないかどうかなんてわかんないでしょ」

「分かるっつーの。 あんなくそ真面目でおとなしくて親の言いなりな女……つまんねぇ女以外の何者でもねぇだろ」



なんてむちゃくちゃな理由。


むしろこの暴君と結婚しなきゃいけないかもしれない女性の方が、気の毒で仕方がないよ。





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