お嬢様になりました。
親に勝手に婚約者を決められて腹が立つ気持ちは分かる。


誰だって好きな人と結婚したいよね。



「いくらその人と結婚するのが嫌だからって、私の名前出す事ないじゃん」

「オヤジが連れて来た女よりお前の方が格上だから、ちょうどいいと思ったんだよ」

「格上?」



何の事?


お金持ちの世界って本当分からない。



「お前自身じゃなくて家柄がな」



またしても人をバカにする様な態度。


悪かったわね!!



「どうせ私は見た目も中身も普通ですよぉーっだ!!」



私は海堂に背中を向けた。


心配して損した。


さっさとお祖父ちゃんのところに戻ろう。



「あんたの事なんて知ったこっちゃないから、私たちはただのクラスメイトですって、おじさんにちゃんと説明し直しといてよね」



ドアノブに手を伸ばした時、黒い影が落ちてきた。


……え?


お腹に回された力強い腕。


背中には硬くて温かい感触……。


これって……。



「ちょっとッッ!! あんた何してんの!?」



何で抱きしめられてんの!?



「暴れんな」



この状況で暴れないバカが何処にいんのよッッ!!





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