お嬢様になりました。
それにしても……。



「今日私に予定が入ってたらどうしてたの?」



たまたま予定は入ってなかったから良かったものの、あんなに急に連絡してくるなんて……。


玲らしいっちゃ玲らしいけど、ビックリしたよ。



「入ってたら別の日にしてた」



って事は、別に急ぎの予定じゃなかったって事ね。


何で私をここに連れてきたのかもよく分からない。



「私が居たんじゃ仕事の邪魔なんじゃないの?」

「邪魔じゃない。 寧ろいつもの撮影より楽しい。 それに、知って欲しかったんだ、俺の事」



玲の真剣な眼差しに、今にも吸い込まれてしまいそう。


今でも何考えてるかわかんない時もあるけど、素直に接してくれる事はすごく嬉しかった。



「連れて来てくれてありがとう。 私も楽しいよ。 それに、いつもと違う玲が見られて、なんか新鮮」

「俺だけを見てて。 余所見したら許さない」



身体中がカッとなり、頬に熱が集中していく。


甘く妖艶な声は、私の身体を痺れさせる。



「レイ!! 撮影再開するぞ!!」

「はい」



玲の手が私の頬を包み込み、優しく持ち上げられた。


柔らかな眼差しと目があい、ドキドキ胸が騒ぎ始める。


玲の唇がおでこに触れ、身体に力が入る。



「もう少し待ってて」



コクコク頷くと、玲は満足した様な笑顔を見せ、撮影に戻っていった。





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