しいと星屑
「椎名さん」
誰かに名前を呼ばれた
いや、正しくは"名字"だけど
私を名前で呼ぶ人なんてこの学校にはいない
私は呼ばれた方に振り向いた
きっと今の私は
すごく不機嫌そうな顔をしているだろう
私はいつも、
ついついそんな顔をしてしまう
「椎名さん、月曜ゴミ当番だよね?」
「あ、うん」
私を呼んだのは、
クラスで人気のある芦田君
さわやかなルックスと、
少し長めでサラサラな前髪のせいだろう
彼は、ちゃらんぽらんそうに見えて
ガリ勉君だと思う
そんな芦田君が、何故私を
ゴミ当番として呼び出したんだろう
「昨日、ゴミ出した?」
「あ…出してない」
「だろうね、
出してなかったみたいだったから俺が出しといた。
今度からは気をつけてね」
そう言って彼は、
仲間の男子の元へと歩いていった
私はなんて馬鹿でマヌケな奴なんだ。
自分で自分を呆れてしまう。