゜。秘密の極道彼氏 。°







來華の一家が歩く通り。



人通りも多く、走る車も多い。




「♪~♫~」



と、鼻歌を歌いながら、その通りを飛ばすトラックがあった。



運転しているのは40後半の黒々とした、少々伸びた髭が印象的な中年の男。




男は東北の方から一晩かけて東京まで来たため目の下にはクマがあったが、やっと着いたという喜びで鼻歌を歌いながらトラックを飛ばしているのだった。




男には家庭があり、これで少なからず家族に金が送れる。という喜びもあったのだ。



それにこの仕事が終われば、一息つく。



さっさと終わらして可愛い娘と遊びたい。



そんな思いを巡らせて、男はアクセルを踏みしめた。





―――――が。




突如知らぬ激痛に頭を襲われ、目の前が霞む。



「がっ!!」



思わず動かした右腕はハンドルを左へ動かした。




來華の一家が仲良く歩く通りへ向かい――――。








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