二度目の成人式《TABOO》
十五年越しの恋
二度目の成人式の会場に、

彼の運転する車でやってきた女性は

ドライバーの彼と軽くキスを交わすと、

車を降りた。

「ありがとう、

今日はこの後二次会に参加すると思うから、

迎えは良いわ」

彼女がそう言うと、

車は走り去っていく。

『今日は二度目の成人式、

この街では本来の成人式の後に、

社会人になり仕事も一通り覚え、

脂の乗り切った頃が本当の成人との観点から、

毎年三十歳になると、

三十歳成人式との名目で市内全中学校の卒業生を集め、

巨大な合同同窓会を開いているの、

あたしもその同窓会に来たんだけど、

楽しみが一つだけあるんだ、

大好きだったあの人が来てるか、

それがどうしても楽しみ』

しかしあまりの人の多さに目当ての彼は見つからなかった。
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