先生、スキ




「梨菜?」


後ろから少し低いハスキーな声が聞こえる。


「あ、タクミ!!!」


タクミは私の彼氏だったりする。


もちろん、心の底から愛している人。


「なーにやってんの?」


私の頬っぺたを少しつねる。


「ひーみーつっ」


ひとつ笑うとタクミの顔は真っ赤になった。


分かりやすい性格。
子供っぽくて
でもときどきとってもかっこよく見える。


少し、先生に似た人。


けど、先生とは違う人。


私は今ちゃんと“タクミ”を愛している。



「じゃあね、せんせっ」


先生に手を振ると
いつものように笑って手を振った。


大好きだった人、初めて愛した人。




彼のお陰だった、今の私がいるのも
今、タクミといることができるのも




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