先生、スキ
「なに?」
「なんで先生のこと好きなの」
あまりに真っ直ぐな瞳で聞かれたので
私はドーナツ屋のジュースを吹きそうになった。
「・・・ゴホッ、突然何よ」
少し涙目になってしまう。
「いやあ、どうしてスキになったのかな?とか思って」
にっこり笑う里枝はたまに悪魔に見えたりする。
「そんなこと聞いてどうなんの」
「いやあ、なんであんなのがいいのかな?と思って」
“あんなの”という言葉に
カッとなってしまう。
先生は“あんなの”なんていわれる人じゃないわ!!!
「先生は顔もいいし、優しいし
言うこと聞いてくれそうだし。」
平気な顔して私は言ったけど
本心はそうじゃない。
ほんとの理由はほかにある。
もっとちゃんとした、他の理由。