アタシは見てしまった。
「…………………一星。」
「んー?」
「手…繋ぎたい。」
一星は少し困った顔をして
鞄を持ってない手を前に出した。
あたしが一星の手を取ると
女子の黄色い声がした。
「きゃーーーーー!
やっぱり2人付き合ってたんだ!」
「奈々ちゃんなら許せるー!」
「うんうん!」
そんな声が聞こえて
安心したあたしがいたけど
一星に関してはどんどんと
顔が暗くなっていくのが分かった。
そりゃあそうだよね。
だって一花にまで
噂が耳に入ったらやだもんね?
でも、一星ごめんね。
あたし、それを狙ってたんだ…。