最愛


「泣いちゃダメ。ゆり、泣いちゃダメだよ」

藍がハンカチを差し出す。

「ゆりは、産みたいんでしょ?産むんでしょ?だったら泣いちゃダメだよ」

藍が優しく、でもハッキリと言う。

「ゆりは、お母さんになるんでしょ?強くなるの。だから、泣かないで?」

藍が小さく息を吐く。

藍がギュッと抱きしめてくれる。

「あたし、協力するよ。夏樹くんのフォローもする。だから、強く、なろう?」

涙がこぼれそうになるのをこらえる。

「・・・あ、りがとぅ・・・・ぅっ・・・」

でもやっぱり涙は止まらなくて。

「今日だけだよ?」

そう言ってくれた藍の腕の中で泣き続けた。

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