花笑み ーはなえみー



「…見ちゃった。」


頭上から
場違いな、明るい声が降ってきた。



「お姉さん、今村先生の彼女?」


見上げると、
窓から少年が顔を覗かせていた。

サラサラの黒髪に眼鏡、紺のブレザー。


…マズい、生徒だ。


返答に困る私に、彼はふっと笑みを零す。



「…こっち、来ませんか。」


胸の隙間に満ちていく
この温かいものは、何?







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