最後の贈り物【短編】
蒼の暗号
三人の子供たちが向かった場所は、広い大きな建物――体育館だった。

三人の子供には広すぎるその空間を見上げて健一が得意気に話し出す。

「いいか、よーく聞けよ」

そう言うと、一度言葉を止め大きく息を吸い込む。

「わーーーー!!!!!」

卓也と鈴は驚いたように目を見開き健一を見つめるが、次の瞬間健一が何を言いたかったのかを悟った。

そう、その健一の声がこの体育館中に反響し返ってきたのだ。

二人の反応に満足そうににっこり微笑むと健一は腕組みをして胸をそらす。

「なっ!声が木霊しているみたいだろ?」

「ホントだー!健ちゃんよくわかったね」

鈴はさっきまで健一にからかわれていたことなど忘れたかのように、賞賛の瞳を向ける。

健一は照れくささを隠すために、エヘヘといいながら鼻を指でこすった。
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