最後の贈り物【短編】
そこに卓也の声が被る。

「ねえ、でも鉄のオリって何だろう?」

その問いかけにも健一は自信満々の態度で二人を見回す。

「もう、それもわかっちゃったもんね」

健一の言葉に卓也と鈴は顔を見合し首を傾げる。

健一は体育館の端の方に移動すると、バスケットボールがたくさん入れられたカゴの前で止まる。

そして、無言で少し格好つけるように親指でそのカゴを指した。

次の瞬間、卓也と鈴が同時に「あっ」という声を上げる。

「オレさ、バスケ好きだからピーンと来たんだ」

言いながら健一はカゴの中から一つボールを取り出すと指先でくるくる回し始めた。
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